第5話 「買うという動機づけ」
サトシ:「ふー、食った食った」
タケシ:「5個は食いすぎだろ」
サトシ:「うまいんだからしょうがない。じゃ、これから買うという動機づけの話をしていくぞ。これが実践に移る前の最後の学びになるから耳の穴かっぽじってよく聞くんだぜ。」
タケシ:「わかった。しっかり聞くよ。」
サトシ:「よし。まず聞くけど、タケシはお客さんがものを買うとき何が起こってるかしってる?」
タケシ:「えーと、お客さんがその商品を欲しいと考えてその値段が出せそうだったら買うって感じかな?」
サトシ:「そのとおり。まず『買いたいか買いたくないか』という第1のハードルを越え、次に『買えるか買えないか』という第2のハードルを乗り越えて買うという行動が生まれるんだ。でもな、不景気はこのうち第2のハードルを高くする。」
タケシ:「確かに・・・消費税があがったばかりだしな。駆け込み需要もなくなってますますそうなっていくだろう。」
サトシ:「そうだな。しかしそんな中でもこの2つ目のハードルを飛び越える方法があるんだ。」
タケシ:「なに?その方法とは一体!?」
サトシ:「それはな・・・第1のハードルをすごい勢いで飛び越えるってことだ。そうすればその勢いで第2の高いハードルも飛び越えることができる。」
タケシ:「・・・それはただのハードル走の話じゃないのか?」
サトシ:「おいおいタケシ、鈍いやつだな。このあいだワクワク系マーケティングの話したときの2本の柱を覚えているか?」
タケシ:「顧客作りと動機づけだろ?」
サトシ:「そう、そしてその動機づけこそお客様に買いたいと思ってもらうことにつながるものじゃないか。動機づけを強固なものにするっていうのが勢いをつけるってことさ。」
タケシ:「なるほど」
サトシ:「納得してくれたところでお客様に『買いたい』と思わせる上で重要なことを教えていく。それが、感性にうったえかけるということだ。」
タケシ:「感性にうったえかける・・・」
サトシ:「この図を見て欲しい。
これは、『感性情報×購買活動モデル』というものだ。この中の意思決定プロセスっていうのが第2のハードルと大きく関わっている。ここで言いたいことは、人は五感を通じて情報を得るが人それぞれで感じ方は違う。そして、得た情報からの最終決定は感性によるものが大きいということだ。買うという行動も同じで、買い物に行くときにもともと買おうと思っていたものを買うときとその場でみつけた商品が欲しくなって買ってしまうときがあるだろう?」
タケシ:「確かにそうだな。おれもこの間旅行をしていたとき、全然知らない場所で入った雑貨屋さんで見つけた『空気をいれるだけでバスの席でも気持ちよく寝れるまくら』ってやつを買っちゃったよ。全然その商品ほしいと考えてなかったどころか存在さえ知らなかったのになぁ」
サトシ:「そう、まさしくそれ!!たけしはいろんなところに旅行をしてきたことで移動時間は気持ちよく寝たほうがいいって知っていただろう?」
タケシ:「そうだね。特にバスの移動は長いし。」
サトシ:「そんな中でその欲求を満たしてくれるその商品が現れたんだ。そのときのタケシは商品に出会った段階で感性への動機づけがされていたんだよ。その商品の値段は高かった?」
タケシ:「2000円くらいで少し高いかなぁって感じたかな。でもそこには試供品があって、ためしに使ってみたらすげえよかったんだ。だから買うことにしたし買った今もまったく後悔してないよ。」
サトシ:「もう完全に『感性情報×購買活動モデル』のまんまじゃないか。そのお店はお客さんにためしに使ってもらうことで第2のハードルを越えたんだ。おれも『感性情報×購買活動モデル』をこないだ買ったCDで実感したよ。」
タケシ:「気になるなぁ。それはどんな動機づけだったんだろう。」
サトシ:「女性アーティストのCDだったんだけどさぁ、俺はそれまで音楽はレンタルショップで借りてダウンロードすればいいと思ってからCDなんて・・・って考えてたんだよね。でもさ、そのアーティストがやってるラジオを聴いていたらその人の歌もだけど人としてもすごい好きになっていて、新発売されるCDがどうしても欲しいと思うようになってたんだ。」
タケシ:「なるほど、そのときサトシに買うことを決定させたのはそのアーティストが好きで、応援したいしもっといろいろなことが知りたいという気持ちだな。」
サトシ:「そうだな。なんかその言い方だとおれがストーカーみたいだけど・・・」
タケシ:「そんなつもりないって(汗)」
サトシ:「いいもんね。まあ、そんなわけでやっぱり人の消費行動は感性によって引き起こされるんだよなぁ・・・タケシは前に行ったBeingの消費を覚えてる?」
タケシ:「なりたい自分になるための消費だろ?ワクワク系マーケティングはそれを満たすんだよな。」
サトシ:「そう、だから俺たちはお客さんが『ダイエット中だけどこの大福が食べたくてたまらない』と思ってくれるような感性にうったえかける商売を目指そうぜ」
タケシ:「おう、これからがすごく楽しみになってきた。がんばるぞー」
サトシ・タケシ:「「オーーーーーッ!!」」
大まかだがワクワク系マーケティングについて学んだタケシ。2人は学んだことを生かした商売をはじめたのだった。
To be continued・・・
次回予告
ワクワク系マーケティングを実践することで変わっていく剛田屋、お客さんが増えていく中でサトシはさらに大切なことを伝える、しかしその先には悲しい・・・次回「客の7段階進化」 こうご期待!!
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参考文献
出版社:角川書店
題名:「買いたい!」のスイッチを押す方法
著者:小阪裕司
DVD:ワクワク系マーケティング(作者は上と同じ)