Read Article

第3話 「2つの商いの道」

第3話「2つの商いの道」

サトシ:「シ・・・シゲル!?」

photo2 (4)

シゲルはかつてサトシが旅をしていたとき何度もポケモンバトルをしたライバルだった。今は「和スイーツ・シゲル」という安さと豊富な種類が売りの和菓子チェーン店の代表取締役権社長をやっているらしい。

シゲル:「ハッそんなおとぎ話のような話あるわけないだろう、タケシこの店に客はもうこない。なぜならここにくるはずの客はすべて「和スイーツ・シゲル」にくるからな。」
takeshiタケシ:「でも・・・味は絶対うちのほうがおいしいじゃないか!!」


シゲル:「味?そんな食べ比べないとわからない差なんてどうでもいいね。大事なのは食べ飽きないくらいの種類といつでも気軽に買える安ささ。2倍以上の値段で大福だけなんてかうわけがないさ」


タケシ:「ぐっ・・・」


シゲル:「ハッ負け犬はとっとと店をたたんだほうがいいぜ。」


サトシ:「だまれよ!!」


シゲル:「アンッ?なんか文句あんのかよ」


サトシ:「今はお前の店が繁盛しているからってタケシにそこまで言う権利はおまえにはない。それにタケシの店はこれから俺たちが協力するから絶対巻き返すぜ!」


シゲル:「ふーん・・・じゃあ見せてもらうかな、その悪あがきってやつを。まぁせいぜいがんばれよ負け犬君たち。じゃ~ねぇ~」

(和スイーツ・シゲルの和菓子たち)

そういって、シゲルは店を去った。

 

サトシ:「見とけよシゲル・・・いや~あいつは昔と変わんねえなぁ」


タケシ:「・・・・・」


サトシ:「どうしたんだよ、元気ないじゃん」


タケシ:「実際あいつのいうことはあながち間違いじゃないんだ。あいつの店ができてからうちのお客は激減した。確かにうちのほうが値段も高いし種類も少ない。でも、味は格段にうちのほうがおいしいんだ。それなのに大半のお客さんはうちから離れていった。今も来てくれるのは数えるくらいの数さ。やっぱり一番重要なのは値段なんだよ・・・」

 

うつむくタケシ。そんなタケシとは対照にサトシは明るく話し始めた。

 

サトシ:「タケシ、確かに値段って言うのもひとつのマーケティング方法だけどそれだけじゃないんだぜ。さっきのプリンだって高いにもかかわらず売れてるだろう。でもな、商いの道は大きく分けると2つしかない。今からその話をするからしっかり聞いててくれ。

1つ目がニーズ対応と利便性提供の商いだ。こちらはニーズ把握・・・まあお客さんがなにをもとめているのかってことだな。

競争・競合・・・まあ競合他社と価格とかサービスで張り合うってことだ。

そしてスケールメリット・・・大型店やチェーン店ほど客の来る数は多い。その分粗利が低くとも数で稼げるから安くできるってことだな。

まあ大きくいうとこの3つで成り立っている。このようにニーズ対応と利便性提供の商いは圧倒的に大型店有利だ。小さな店ががんばっても到底かなわないだろう。」

 

タケシ:「やっぱり・・・」

 

サトシ:「まてまて、もうひとつの道が残っているだろう。こっちが俺たちにとって重要なんだよ。その重要な2つ目が、価値創造と顧客作りの商いだ。
こちらは価値創造・・・まあお客さんがまだ知らない価値をつくりだすってことだな。

動機付け・・・お客さんがその商品を買いたくてたまらないってなるように導くこと。

そしてコミュニティ・・・お客さんとのおしゃべりやニュースレターを贈るなどして人と人との結びつきを強めるってこと。

もうひとつがライフタイムバニューだ。このライフタイムバニューは人生を豊かにする価値という意味で、これを提供することができるのが価値創造と顧客作りの商いなんだ。」

 

タケシ:「なんかニュアンス的にはわかるけど釈然としないな・・・」


サトシ:「タケシはBeingの消費ってしってる?」


タケシ:「いやぁ、しらないなぁ・・・」


サトシ:「これは、簡潔にいうとなりたい自分になるための消費ってことなんだ。」


タケシ:「うーん、難しいなぁ」


サトシ:「今の世の中たいていのものは手に入り、生活に困るなんて早々ないだろう?」


タケシ:「たしかに、家に電化製品があるのは当たり前だし食べ物にも困らないね。」

 

サトシ:「そういう消費者は心の豊かさをもとめているんだ。実際、世の中の6割強がこの心の豊かさをもとめているというデータも出ている。その心の豊かさって言うのが人と人とのつながりで生まれる温かさであったり、未来の自分を想像させるような商品にあったときの『そうそう、こういうのをさがしてたんだよね~』っていうものなんだよ。」

 

タケシ:「なるほど。なんとなくわかる気がする。俺も趣味でレコードを集めているんだけどそのためだったらお金をだせるし出しても後悔しないもんなぁ。レコード特有の音質がたまらないいんだよ。」


サトシ:「だろ?レコードなんて他人からみたら価値のないものだけどタケシには価値がある。知らぬ間にどこかでタケシもレコードの価値創造をされていたんだよ」


タケシ:「きっと昔から親父にレコードを聞かされていたからだな・・・」


サトシ:「これがこのBeingの消費社会モデルだ」

photo1 (7)


サトシ:「人生の充実への支援を命題にした人にフォーカスした商売、これを目標にがんばっていこうぜ!!そしてここからついに、このBeingの消費に応えるワクワク系マーケティングに入っていくぜ」


タケシ:「なに!?ワクワク系マーケティングはこれをかなえるのか・・・早く教えてくれ」


サトシ:「そうあせんなって、あっもうこんな時間かぁ・・・タケシご飯にしようぜーーー」


タケシ:「そっそんなぁ・・・」

話を聞くうちに元気を取り戻してきたタケシ、

こうしてタケシはワクワク系マーケティングを学ぶ一歩手前まで来たのであった。

To be continued・・・・

 

(次回予告)

ついにワクワク系マーケティングを学び始めるタケシ。ワクワク系マーケティングとは、そしてその先に一体なにがあるのか・・・次回、「ワクワク系マーケティング」こうご期待

 

NEXT >> 第4話 「ワクワク系マーケティングとは」

 

 

参考文献

出版社:角川書店

題名:「買いたい!」のスイッチを押す方法

著者:小阪裕司

DVD:ワクワク系マーケティング(作者は上と同じ)

Return Top